スウェーデン・ウメオ市と鎌倉市が交流、市民と対話する手法に注目

ウメオ市と鎌倉市の交流参加者全員が、働き方のディスカッションで話題になったウメオ市役所の「フィーカの部屋」。職員の「フィーカ」(コーヒーブレイク)はスウェーデンの特色ある習慣です。


 2018年10月、国際都市間協力(IUC)プログラムにおいて都市ペアに選ばれたスウェーデン・ウメオ市と鎌倉市は、ウメオ市において初めての交流事業を実施しました。

 鎌倉市からは、共創計画部企画計画課の青木香織氏、飯泉浩二氏、竹之内(加藤)直美氏が参加しました。ウメオ空港に到着した一行は、ウメオ市国際戦略担当官のSusanne Thurén氏に迎えられ、市職員が利用する車両共用システムの乗用車で市内へと移動しました。道中、Thurén氏は、短い出張をする場合、空港と市内間の移動に自転車を利用する住民が増えたため、ウメオ市が空港内に駐輪場を設置したことを紹介しました。

 視察の初日は、国連の持続可能な開発目標(SDGS)を市の戦略に取り入れることに関して、ウメオ市戦略開発コーディネーターのAlbert Edman氏の司会のもと、意見交換が行われました。ウメオ市はこの日、高校生が持続可能な生産と消費に関するアイデアや意見を地元の政治家に伝える機会として「持続可能な開発評議会」を開催していました。鎌倉市の一行はその会場で、ウメオ市のレストランにおける持続可能性を評価する指標を考案した女子高校生たちと意見交換をする機会を得ました。

 2日目は、ウメオ市が進めるスマートシティプロジェクト「RUGGEDISED」のプロジェクトマネージャーCarina Aschan氏が、エネルギー効率化の取り組みで対象になっているウメオ大学のキャンパスを案内しました。大学では、人の呼吸によって発生する二酸化炭素を測定するセンサーで室内の滞在者の有無を確認し、使用されていない部屋の暖房を自動的に調整できるようにしています。

 最終日には、男女平等戦略担当官のLinda Gustafsson氏がバスツアーでジェンダーの視点から見た街づくりを紹介しました。その一例は、夜間に移動する女性の意見を参考に、鉄道線路下の通路を安全と感じるように、明るく広々と整備し、人が隠れることができるような太い柱や暗い空間をつくらないデザインになっています。そのつづきで、日本とスウェーデンの女性と男性のライフスタイルと働き方の違いについてのディスカッションが盛り上がりました。

 ウメオ市と鎌倉市の状況は異なります。ウメオ市の人口は急速に増加しており、鎌倉市の人口は減少しています。鎌倉市は古い歴史を持ち、首都の近くに位置し、多くの観光客を魅了しています。ウメオ市は、スウェーデンの中心部からは距離があり、若い学生で溢れています。一方で、両市の共通点として見えてきたことは、両市の住民が高い意識を持ち、持続可能な開発に取り組むことに前向きであり、その住民が貴重だという両市の意見が一致しました。どちらの自治体もイノベーション、市民との対話、そしてソーシャル・キャピタルを創造するために人々への投資に重点を置いています。2019年には、両市の次回の交流が鎌倉市で実施される予定です。両市が見いだした共通の課題や可能性は、次回の交流で更に追求されることになるでしょう。

文責 : ペアリングコーディネーター  レーナ・リンダル (Lena Lindahl)

 

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